第51回中部地区英語教育学会【福井大会】

6月25日(土)・26日(日)に第51回中部地区英語教育学会【福井大会】が開催されました。

私も「教師の自律性支援が行為主体的エンゲージメントに及ぼす影響―心理的欲求を媒介として―」というタイトルで発表を行いました。


【要旨】

現代教育において児童・生徒の授業へのエンゲージメントの向上が重要とみなされている。自己決定理論では、教師の動機づけスタイルによって、学習者の心理的欲求が変化し、エンゲージメントに影響を及ぼすという論が展開されている。本研究では、教師の動機づけスタイルの一つである「自律性支援」指導、生徒の「心理的欲求」の充足、及びエンゲージメントの一つとして「行為主体的エンゲージメント」を取り上げ、それらの関連性について論じる。いくつかの先行研究(e.g. Reeve & Shin, 2020)から、教師の「自律性支援」指導が学習者の「心理的欲求」を媒介として「行為主体的エンゲージメント」を予測するということが明らかとなっている。現状、日本の英語学習における上記の関連性を検証した研究は見られず、今後の研究の発展が望まれる。本発表では、上記の関連性を明らかにするために、日本の大学1年生303名に対して英語学習動機に関する5件法によるアンケート調査を行った。調査は2022年4月初めに行われた。その結果を多変量解析及び SEM を用いて分析することで、「自律性支援」指導→「心理的欲求充足」→「行為主体的エンゲージメント」という媒介モデルの存在を確認することができた。上記の媒介モデルの存在が明らかになったことにより、教師が自律性支援の視点を理解し、生徒の心理的欲求を充足させていくことで、より意欲的に学習活動に取り組むことを助けるようなエンゲージメントであり、学習者の学業成績などを予測するとされる行為主体的エンゲージメントを高めることができると考えられる。これらのプロセスを学習者がたどっていくことによって、英語力の向上に寄与していくことが考えられる。

小学校英語教育(染谷)研究室

本サイトでは、(小学校)英語教育に関する実践や研究に関して紹介する。

0コメント

  • 1000 / 1000